このMetalmind盤全般的に言える事でございますが、リマスターが成されている模様で非常に良心的な音質となっております。
内容は言わずもがな。
ラインナップは全盛期名手揃い、Jack Blades(Vo、B ex-Rubicon、Stereo 後にDamn Yankees)、Kerry Keagy(Vo、Ds ex-Stereo)、Brad Gillis(G、ex-Rubicon、Stereo、Ozzy Osbourne)、Jeff Watson(G)、
Alan"Fitz"gerald(Key&Vo
ex-Montrose、Gamma、後にAlliance(Sammy Hagar Band絡み))となります。
”Night Machine”に意外なゲストのバックコーラスがございます.......................
そのコーラス隊に後にAlan ”Fitz”geraldとAllianceを結成するDavid Sykes(B&Vo、当時Boston)の参加がございますが、Sammy Hagar人脈(Bostonにも絡む)の感がございます。
これだけ注目を浴び、成功を収めた割にはフォロワーがいないという不思議なバンド。メンバー全員が芸達者、それを生かした演奏・アンサンブルに楽曲というところがミソでございますが..............................
それもその筈、そもそもキャリアが異色。
「Sly & the Family Stoneにウエスト・コースト・サウンドを加えたかの様な」と評された、かの伝説の「California JamⅡ」にも出演したファンク系名ロックバンド「Rubicon」出身という
メインで作曲を行うJack BladesやBrad Gillis
。
12弦アコースティックギターをハイテク感巧みに操り、フュージョン系の正確な演奏力を持つJeff Watson。
アメリカンHR/HMの草分けとして知られ、BritishHM系バンド等にも奉られた伝説の「Montrose」出身。
メジャーか?ローカルか?というアメリカンHR/HMの極端な格差社会時代に中堅として孤軍奮闘した元同僚のSammy Hagar Bandにも在籍したというキャリアを持つものの、
何故か?当時の「ブラコン系」的な演奏や音造りをするAlan ”Fitz”gerald。
そしてかのRubicon解散後のJack Blades/Brad Gillisと「Stereo」というHRバンドを組みNight Rangerに発展するものの、
明らかにジャズやジャズ系名演奏者の影響を強く受けた「歌う手数系名ドラマー」(非常に珍しい)のKelly Keagy。
....................................真面な訳が無い!
メインの作曲はJack Bladesではございますが、メロデ
ィアス
とは言えどアメリカンHR/HMの系のそれではなく、明らかにポピュラー系のもの。
(後々のStyxのTommy Shaw(Damn Yankees同僚)とのプロジェクトからも伺えますが.........)
その分野外のポピュラーさを持つ楽曲にハードさを加え、芸達者なメンバーの巧みな演奏・アンサンブルを練り込んだ音楽性はHR/HMにおいても非常に稀有なものではなかろうかと存じます。
Brad Gillis/Jeff Watsonのハードなツインギターのコンビネーションの巧みさが当時は売りでございましたが、
楽曲にスケール感や躍動感・立体感を作り出すKelly Keagyのドラミングも見事なもの(ハイハット、タムやシンバル捌きにも注目)。
一見HR/HM系に見えるものの、所々で(当時のポピュラー系)ブラコン感覚が演奏や音造りにも伺えるAlan "Fitz"geraldの味付けも興味深いところ(ピアノ捌きも)でございます。
ハード/へヴィ面と分野外のポピュラーさの絶妙なバランスがNight Rangerの音楽性の確立を呼んだ感がございます............................後のDamn Yankeesも同様でございますが....................................
前作「Midnight Madness」は大ヒット、アメリカンHR/HMと言うよりはむしろアメリカン・ロックの躍動感ある代表作の感が
ございます。
ここでは前作と打って変わって八十年代特有のディジタルな音造りを含め洗練度を非常に強めたもの。
演奏・アンサンブルの有り方もヴォーカル中心の楽曲の範囲を意識した洗練されたものでございます。
また前作の音楽性の裏の鍵となったAlan ”Fitz”geraldの演奏はアナログ・キーボードからディジタル・シンセと移行し、洗練度や時代を意識したものとなります。
前作同様に分野外のポピュラー度も強めておりますが、どちらかと言えば(日本で言う)A.O.R.的なもの。メロディアスさもこれに準ずる感がございます。
但し、以前のハードさやツインギターの巧みさに代表される演奏・アンサンブルのスリリングさは大きく後退(Kelly Keagyの巧みさは相も変わらずですが........)。
落ち着いた演奏や楽曲が目立つ作品となっております。
その後の音楽性の基となった感がございます。
楽曲毎に使い分けの感のあるJack Blades/Kelly Keagyのツイン・ヴォーカルではございますが、ここでは完全に使い分け。
HM/HRの分野に収まらない
Jack Bladesの
ソングライターとしての才能を前面に打ち出した
感がございますが、
これが後々にBrad Gillis/Jeff Watson組に代表される演奏面や音楽性の対立の元となった感がございます......................................
またこの頃から他バンドネタが登場。
(...............某曲”Night Ranger”も某Whitesnakeの某曲”Ready'n'willing”という指摘がございますが....................................................)
某曲”Four In The Morning”のイントロは某Billy Joelの某名曲”The Ballad Of The Billy The Kid”、本編の歌のメロディは某Daryl Hall & John Oatesの某名曲”Say It Isn't So”と、
なんだかな~ではございますが.......
元ネタの歌詞を載っけて遊んでいたらファンに怒られたとの物好きの話がございますが................................................
(某Loudnessの某曲”Loudness”に某Rainbowの某名曲”Long Live Rock'n'Roll”の歌詞を載っけて余計酷い目に遭ったとか...........)
次作も露骨ではないにせよ...................................................なんだかな~ではございますが................................................
チャートアクションは前作を上回りセールスも好調。こちらも大ヒット曲も生まれておりますが、ヒット曲以外のバンドの代表曲と言われるものが案外少なく、おまけにA.O.R.感覚が強く、
前作までのハードな躍動感やスリリングさは何処行った?との戸惑いが生まれたのも事実でございます...................................
以前からのこのNight Rangerの音楽性にある分野外のポピュラーさがレコード会社の目に留まり、前作は大きなセールスおまけに大ヒット曲。
シングルヒット志向の安易なマーケット分析がなされ、
したり顔で関係者がバンドに介入した感がございます
(Asiaや”Cinema”Yes、Whitesnake等の例がございますが.........................)
。
今作は成功したもののファンの戸惑いを生んだ事は事実。プロデューサー交代、制作の有り方が変わった次作の評価やセールスに繋がった感がございます。
後に時代が変わりシーンで苦戦する4th以降のバンドに大きな影を投げかける事となります.......................................................
名バラード曲”Goodbye”がございますが、歌詞の内容からかの名俳優 故高倉健さんを思い浮かべる感がございます.................................
現在は入手が非常に困難。この機会に是非。
注:発送方法は変更になる場合がございます。宜しく御願い致します。