ラッパー TOO $HOOT の諸作品や THE DRAMATICS の '90年作 "STONE COLD" を手掛けたことで
知られるプロデューサー KEENAN "THE MAESTRO" FOSTER 率いるヴォーカル・グループ "5:10"
(FIVETEN) による '03年作。コアなフリークには AUTHORIZED PERSONNEL の変名グループという
ことでも知られるだろう。AUTHORIZED PERSONNEL 名義の '97年作 "TOP SECRET" から、割と
程なくして改名していたようで、'99年には本作から①②が先行シングルとしてリリースされている。
そのシングルから約4年の時を経てドロップされた本作は、前作にも収録された傑作バラッドなどの
ハイライト級ナンバー5曲とインタールード1曲、前述の先行シングル2曲を含む全13曲で、既出曲を
聴き比べてみると、同音源であることに違いはないが、新たにミックスし直したのだろうか?音圧が
上がって、よりクリアな音質になった印象。また前作収録曲⑤⑪⑫は長尺版が収録されており、音質
の違いも含め、前作を所有しているコアなフリークにも十分アピールできる内容になっているはず。
前作から若干のメンバー・チェンジがあったようで、超強力ツイン・リードの片割れ RICK JAMES が
脱退したようだが、彼がリードを執った⑤などが再び収録されているのはこの際ご愛嬌か。もう片方の
天才ヴォーカリスト JAY LAMONT は変わらず在籍しているものの、大暴れだった前作と比べると幾分
物足りなく感じるが、今作におけるグループの方向性によるものだろう。先行シングルにも採用された
男性ラッパーをフィーチャーしたグルーヴィーなスムースGファンク①と甘いファルセットで展開する
スムース・メロウ・バラッド②を皮きりに、クラブ・ライクなミディアム・バラッド③、フラメンコ・
ギターをフィーチャーし、男性ラッパーと喘ぎ声交じりの超セクシーな女性ヴォーカルで展開する異国
情緒あふれる④、再収録となる HALL & OATES "SARA SMILE" の絶品カバー⑤は、脱退したメンバー
RICK JAMES による独壇場で、直情的なエモーショナル・テナーがとにかく冴え渡る。前作収録時より
20秒ほど長く楽しめる。続いて⑥も再収録で、語りから始まる90年代ド直球のスウィート・バラッド。
ツイン・リードでメロウに展開しつつ、後半に聴かせる JAY LAMONT による泣きの昇天ファルセット
に悶絶必至。ループするコーラスがクセになるアップ・ナンバー⑦、再収録の⑨も必殺の90'sバラッド
で、⑤でリードを執った RICK JAMES のエモーショナルなヴォーカルが炸裂する流麗なストロング・
バラッド。またまた再収録となるGファンク⑪⑫も30~50秒ほど長いバージョンが採用されており、
特に前者は後半にループする中毒性抜群のキラー・パートがさらに長く味わえる。ある意味Gファンク
の最高峰とも言える極上ナンバー。前作と比べると、幾分ヒップホップに傾倒した印象は拭えないが、
90年代の歌ものを愛するインディ・フリークは素通り厳禁の逸品。万越え必至のレア盤として知られる
前作をも凌駕するレアリティでもって密かに語り継がれるカリフォルニア・オークランド産の秘宝盤。