現在主流のフラットマスタリング方式の模様で情報量重視の感がございますが、非常に良心的な音質でございます(但し、オーディオ機器によりけりでございますが......................)。
但し、制作時に生じたノイズ等の処理が成されている感があり幾分リミックス感がございます...........................
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い。
Tony Iommi(G)、
故Geoff Nicholls(Key、ex-Quartz)、Tony Martin(Vo)、Bob Daisley(B、ex-Widowmaker、Chicken Shack、Rainbow、Ozzy Osbourne Band、Gary Moore Band、Living Loud他
)、
Eric Singer(Ds、後にBadlands、Alice Cooper Band、Kiss他
)
となります。
ゲストとしてBev Bevan(Per、二曲のみ。 ex-The Move、Electric Light Orchestra、E.L.O.Ⅱ他)、(未表記ではございますが....)故Ray Gillan(笑い声、”Nightmare”一曲のみ)となります。
またボーナスCDでは、ヴォーカルが故Ray Gillan(Vo、後に”Phenomena”:Project、Blue Murder、Badlands他)となります。
プロデュースはJeff Glixman/
Vic Coopersmith-Heaven/
御馴染み故Chris Tsangaridesとなります。
1986年10月~1987年3月 英国・モントセラト島及びロンドン かの”Air Studios”、英国・ロンドン”Battery Studios”での制作となります。
(Jeff GlixmanはKansas、Gary Moore等手掛けた事で知られる。今作ではモントセラト島”Air Studio”での制作担当の模様)
(Vic Coopersmith-Heavenは、The Jam/The Europeans等パンク/ニュー・ウェイヴ系を手掛けた事で知られる。但しSnafuやVinegar Joe、”Black Sabbath Vol.4”やJudas Priest”Rocka Rolla”等の制作にも関わる。
今作ではロンドン”Air Studios”での制作担当
)
(故Chris Tsangaridesはヴォーカル録音とミキシング担当の模様。今作ではロンドン”Battery Studios”での制作担当)
尚、作曲/作詞はTony Iommiのみとなっておりますが、作詞はBob Daisleyが関与している模様。
作曲面に関しても故Geoff Nichollsそして故Ray Gillan(ヴォーカル・アレンジ含む)、そして全盛期Ozzy Osbourneの懐刀的な存在であったBob Daisleyが(こちらはリズム観点からの作曲)関与している感がございます。
(当時のややこしいBlack Sabbathマネージメント絡みの問題で、直接金銭のやり取りで解決した感........)
話題作”Born Again”は大好評であったもののDeep Purple再結成の為、Ian Gillan脱退。その後オリジナル・ドラマーBill Wardが復帰。
新ヴォーカリストに迎えたDavid Donato(後にWhite Tiger)、プロデュースにかのBob Ezrinを迎えバンドの立て直しと新作制作に臨むも、Bill Wardがバンド運営や新ヴォーカリストに異を唱え、あっけなく離脱。
またGeezer Butlerも自己の新バンド結成に動き、離脱。
Tony Iommiはバンド活動休止を決め、故Geoff Nichollsと共にソロ作制作へと活動を移行する事となります。
その後かの”Live Aid”にてBlack Sabbathオリジナル期再結成が為され話題を呼ぶものの、ライヴ企画のみで当人たち曰く「マジックに欠ける」と期待された新作制作は不問に。
セッション界隈から名手Eric Singer(後にGary Mooreサポート、Badlands、Alice Cooper、Kiss他)/Dave Spitz、更にはヴォーカリストとしてかのGlenn Hughesを起用し本格的に制作開始。
(故Ronnie James Dio等様々なヴォーカリスト起用を狙ったものの企画倒れに終わり、参加が決定していたGlenn Hughesに一本化した模様)
ソロ作は完成を見るものの、レコード会社やマネージメントは「Black Sabbathとしての新作」
としてリリースを要望。
摺った揉んだの末、結局”Featuring Tony Iommi”を加えた名義にてリリースと相成り、ツアーに勤しむ事となります。
ツアー極初期でGlenn Hughesが離脱。後任にRay Gillan(後に”Phenomena”Project、
Badlands他)を迎え、ツアーを敢行する事となります。
これらの経緯から”Tony Iommi主導のBlack Sabbath”が始まる事となります。
その後”新生Black Sabbath”として新体制にて新作制作に乗り出すものの前作同様プロデュース起用のかのJeff Glixman(Kansas、Gary Moore等手掛ける)がDave Spitzの演奏に異を唱え、Dave Spitzは敢え無く解雇。
名手Bob Daisley(当時Gary Moore Band ex-Chicken Shack、Widowmaker、Rainbow、Ozzy Osbourne Band)を起用し制作を再開するも今度は故
Ray Gillanに異を唱える事となり、故Ray Gillanは敢え無く解雇。
制作トラブルを嫌ったバンド側はその後プロデューサーを変更。
最終的に故Chris Tsangaridesを据え、またTony Iommi人脈
絡みでTony Martinを起用。
ヴォーカル再録音にミキシングを経て、
摺った揉んだの末
新作完成に漕ぎ着ける
.........................という非常に面倒な経緯がございます.....................................
さて今作。
そもそもソロ作として制作・完成をみた前作”The Seventh Star”の音楽性を、Tony Iommi主観Black Sabbath特化した感のある音楽性でございます。
但し、非常に躍動感溢れたもの。
Tony IommiとしてはIommi/Dio主導の音楽性であった大傑作”Heaven and Hell”の路線を引き継ぎつつ、事実上ソロ作の前作のポピュラー感ある音楽性を礎として、
メロディアス重視Tony Iommi主導Black Sabbathの音楽性を構築した感がございます。
”Black Sabbath”としての制作である今作では名手Geezer Butler不在がミソ。
そもそもBlack SabbathはTony Iommiと並ぶ重要な作曲者でもあるGeezer Butlerの権限が強いもの。
Geezer Butlerが当初から音楽創作に関わればIommi/Dio主導で制作された”Heaven and Hell”の様な音楽性は困難。
またGeezer Butlerの演奏者としてのリズム重視があり、初期Black Sabbath的なロック的躍動感や勢いが強調される感がございますが、
ここでは皆無。
大傑作”Heaven and Hell”時代の創作主導に似た感がございますが、ここでは”Iommi/Nicholls/Gillan”主導という感。ここがミソでございます。
作曲クレジットはございませんが故Geoff Nicholls
/
故Ray Gillan
の存在がミソ。
事実上Tony Iommiのソロ作である前作でも故Geoff Nichollsの創作貢献が窺える音楽性ではございますが、今作はBlack Sabbathとしての制作。
Black Sabbathとしてヘヴィとは言え、メロディアスさに加えポピュラー性が強く加わった感があり、非常に理解し易い音楽性。
ヴォーカル・メロディも(Tony Martinがヴォーカル担当とは言え)故Ray Gillanのメロディアス/ポピュラー色強い個性が出たもの。
また楽曲アレンジが細やかなもので非常に質が高いもの。
非常に理路整然とした感が有り、
(同路線で後に隠れ名盤と呼ばれた”Headless Cross””Tyr”とは異なる)
専属プロデューサーの存在が音楽性に窺えるものでございます。
今作で初登場となる感の名手Tony Martinではございますが.................
名手故Ray Gillanの残したヴォーカル・メロディ/歌詞に沿う感がございますが、ヴォーカル個性は当時驚きを以て迎えられたもの。
後に同僚となる名手Neil Murrayも”MGM”(かのWhitesnake元同僚Bernie Marsden/故Mel Galleryによる幻のバンドで、かの”Alaska”の前身。”Reading Festival”にも登場?)でのデモ録音で関わった際に
称賛した事から、
その人脈からTony Iommiに起用されたという感がございますが、非常に伸びやかで表現力豊かなヴォーカル。
故Ronnie James Dio系統のヴォーカリストではございますが、
本家が「ワン・スタイル」に比べ
結構スタイルが広い事が特徴。
様々な楽曲に対応できる事が”Forcefield Ⅱ”(”Carrie”等参照)や後のソロ等々で聴かれるものでございます。
今作での故Ray Gillanのメロディ感覚を上手く継承して、次作以降にも生かして欲しかった感がございます.....................................
但し、今作で(故Ronnie James Dio本人含め)相当叩かれた感が有り、またBlack Sabbath在籍という事があり故Ronnie James Dioを意識し過ぎる事が仇となった感がございます.................................
また後に大きく名を成す名手Eric Singerではございますが、Black Sabbath正式加入としての初参加という事で非常に気合の入った演奏。
前作はTony Iommiソロ作としてセッション参加という事で遠慮がちではございましたが、ここでは個性を押し出し手数多しの演奏。
後に高く名を成す名手振りが聴かれる最初の名演の感がございます...............................
今作の躍動感溢れる音楽性はEric Singerによるものの感がございます..............................................
また音質にも注目。
フル・ディジタル録音の模様で八十年代特有のディジタル感強い音質ではございますが、結構アタック感が強いもの。
また前作ではもこもこした音像でございましたが、ここでは非常にシャープ。
加えて躍動感がありその上にアナログ感有るヘヴィ音が加わるというものではございますが、非常に音質の良いところが非常に興味深いものでございます。
セールス的には大不振でございましたが八十年代を象徴する音造りの感があり、通受けオーディオファンに重宝された感がございます。
ミキシングでも評価の高かった故Chris Tsangaridesのベストワークの一つの感がございます...............................
制作後に名手Geezer Butlerが復帰が決まりますが、新作は日本等では好評を博すもののセールスは大幅に低下。
また当時アパルトヘイト政策が批判を呼び国連主導で経済制裁が課されていた南アフリカ共和国での公演を行なった事で米国及び国連加盟国から相当な非難を受け、
当時のマネージャーErnest Chapman(第二期Jeff Beck Groupの現場マネージャーだった人物)が国連で謝罪の憂き目に遭う事となります。
(Tony Iommiの盟友Brian May在籍のかの”Queen”がかの”Sun City”公演を行った事からの依頼の感が.........................)
醜聞に加え、それを嫌うGeezer Butlerが再び離脱。
新作の非常なセールス不振もあり、英国”Vertigo”/米国”Warner Bros”から契約解除の憂き目に遭う事となります.....................
Tony IommiはNicholls/Martinを残しバンドは解体。
その後、Gary Mooreとの活動に疑問を感じていた名手故Cozy Powellにアプローチ。
(ツアー開始数日前にGary Moore Bandを脱退.........何かねぇ.......)
参加承諾を得るとバンド再建に乗り出す事となります(故Cozy Powell曰くは「堕ちた偶像であろうとも、伝説には携わってみたい」との事)。
かの名マネージャーMiles Copeland(The Police、StingのマネージャーでかのStewart Copelandの実兄)運営の”IRS Records”の契約を獲得、新作制作に乗り出す事となります。
本編ボーナス楽曲は二曲。
共にTony Martin参加後に完成をみた楽曲の模様で、ヨーロッパ圏のみでリリースされたシングルのB面楽曲。
本編楽曲に比べやはり出来が弱い感がございますが、中々の出来。
一曲は次作にて再録音されるものでございますが、制作環境等の違いが非常に興味深いものがございます................................
さて、ボーナスCD。
待望の故Ray Gillan制作ヴァージョンでございます。
デモ録音の模様ではございますが、本編制作途中の録音の感の有るものが含まれており、非常に興味深いものがございます。
楽曲は殆ど完成されており、Jeff Glixman関与・立会いの下制作された感がございます(モントセラト島”Air Studios”での録音の感)。
但し、以前海賊盤でリリースされ有名であった音源にノイズ処理等を施したという感がございます........................
(基となる音源の音質が怪しい感が有り、きちんと音源をリサーチして使用していれば............と思わせる感がございます..............
正直故Ray Gillanヴォーカルのマルチトラックテープが残されている様な...................かの大傑作”Born Again”にもTony Iommi又はIan Gillan所有のマルチトラックテープの存在がIan Gillanから語られておりますが..........
)
ラインナップはIommi/Nicholls/Gillan/Daisley/Singerの模様。
ヴォーカル・メロディは後の本編と殆ど同じもので、後任のTony Martin曰くは「歌っただけ」との事。
正直名手Tony Martinのヴォーカル個性に軍配を上げる感がございますが、名手故Ray Gillanのヴォーカルでも完成出来たのでは?という感がございます。
(よりポピュラー感が強くなる感
が.....)
正直Jeff GlixmanはかのPaul Stanley(KISS) 1stソロ作制作時にもPaul Stanleyと対立し、
降板。
Gary Mooreの制作時にも指弾きを巡ってかの名手Neil Murrayと対立(あの温厚なNeil Murrayが、ねぇ.............)等々とトラブルを見かけるプロデューサー。
案外癖のある方の模様で、その気紛れの果てに生まれたのが(本編共々の)今作、という感がございます......................
(様々な背景があるにせよ)故Ray Gillanの遺した音源は非常に限られたもの。非常に貴重な音源ではございます......................
現在は入手困難の模様。この機会に是非。
注:発送方法は変更になる場合がございます。宜しく御願い致します。